終わったことをあれこれいう

1/15の「シンフォニックの新鋭たち」はうたごころのあるバンドが集まった心温まるイベントになった。ポセイドンはインストバンドが多い、などと言われていてぼくの趣味みたいにみられているが、実際はいいヴォーカルバンドが昨今少ないからリリースできないだけだ。

月兔は、曲も演奏も今まで見た中で一番出来のいいライブだった。名前ほどには日本趣味はないのだけど、シンフォニックなメロディーやハードにもメロウにもなる女性ヴォーカルフロントのバンドとして完成度が高くなってきた。ただ本人達にはそういった自覚はないようで、普通にマイペースでやっている一過程に過ぎないらしい。バンドのコンディションというのは微妙なので、いい時期が長く続くとは限らない。月兔のライブは、ぜひ見ておくことをお奨めする。

京都から遠征してきたウォーラスのシイバが歌いだした瞬間が、このイベントでのぼくにとっての白眉だった。新月の北山/花本組が高く評価しているウォーラスの持つ独特の雰囲気は、確かに新月プログレだけではないフォーク路線やソングメーカー北山の発想にも通じるところがある。音楽も編成もステージングもユニークなゆえに、「普通のプログレ」を見慣れた人たちの第一印象は違和感があるかもしれない。でもウォーラスのような独創的なバンドがまだまだ世にある、というのはとても豊かな気持ちになる。

この日の出演者中、interpose+の曲と演奏はダントツだったと思う。しかし、今やポセイドンのトップバンドの一角にのし上がり、海外遠征まで決まっているinterpose+にとっては、あの程度の演奏では特記すべきものはない。毎回見ているファンにとっては普通だったろうし、バンドの持つポテンシャルは実はもっと高い。アルバムリリース後のキーボード奏者とベーシストのメンバー交代、フェスティバルでのライブ構成ミスによるさんざんな評価、など様々なトラブルを乗り越えて、interpose+は再構築の真っ最中だ。このバンドの頼もしいところは、タイトなインストとメロウなヴォーカルパートの対比がなんともプログレファンの琴線をくすぐるという武器を持っていることと、佐藤/田中のベテランコンビの対応力が広いことだ。interpose+はライブの度に勢い良く急成長しているので、毎回見て損はないと思う。