番外編: ラテンアメリカプログレ分析

Bajaで4日間もラテンアメリカプログレを大量に聴かされていると、傾向と対策が見えてくる。出場していたのは、チリ、ヴェネズエラ、メキシコ、ブラジルから合計6バンド。さらにスペイン語の本拠地スペインからも2バンド招かれていた。大国アルゼンチンからの出場はない。経済危機によるものだろうか。

音楽的な特徴はどのようなものか? まとめると、こけおどし的な派手な展開、無意味に長い曲、頻繁かつ強引な転調、ヴァイオリンやフルートなどの飛び道具の多用、レベルの高いヴォーカリスト(インストは少ない)、などによるヘヴィーシンフォである。ライブで観客の反応を見ていると、これらのポイントは、「熱しやすく冷めやすいラテン人気質」というユーザーニーズを汲み取ったものだということがよく分かる。とりあえず一曲名は口笛と歓声で過剰に反応する。が、しかし飽きてくるとさっさと見切りをつけて席を立ってしまう。飽きられないためには、バンド側には派手であること、目先をころころと変ること、が必要になる。こうした方向性の音楽で完成の域に達しているのは、イタリアのバンコやオザンナである。一方現役のバンドの多くはそこまでの技は持ち合わせていないので、単なるど派手な音楽や展開方法がワンパターンでつまらない音楽に聴こえてしまうことが多い。そうした中で今回出場したチリのMATRAZは、まだ未完成ながらソリッドなアンサンブルとパワフルな女性ヴォーカリストのマッチングが良く、ぜひまた見たいバンドだ。