Kampec Dolores - 母なる大地、父なる空 レビュー by Rotters' Paper

スタジオ録音としては2000年の「A Bivaly Hatan/Sitting On The Buffalo」以来となる新作(2003年にライヴが出ていたようだが見落としており聴いてません)。今年10月の録音で12月の来日公演に合わせ日本先行発売となるらしい。2000年のメンバーからは管楽器奏者とドラマーが変わっているが、vo/g/b/ds/sax他の5人編成は変わらず。ハンガリー・トラッドを下敷きにした基本線は昔から不変だが、初期のフリー・ジャズとのミクスチャアから、前作で大きくアヴァン・ポップ〜ジャズ・ロックへとシフトした路線転換がさらに進行している印象。看板女性voのGabiがvlnを弾く場面がほとんどなくなり、ドラマーはほとんど通常のドラムセットで民族perの利用が少ない。ベースもdsに合わせブイブイ、オルガンやピアニカやアゴギの導入、ブレイクビーツやチョッパーベース、ラテン的なリズムも使ったりと、バリエーションがやたらと豊かになり、度を過ぎてB級的とも思えたりしてちょっと戸惑うことも。ただし、Gabiのテクニカルなのかプリミティブなのか判別のつかない個性的なヴォーカルは中心軸としてしっかり貫かれているので、バンド全体の高い魅力は全く揺るがず。前作同様気に入りました。