Kamec Dolores - 母なる大地、父なる空 レビューby SCSIDNIKUFESIN

以前にも紹介したことのある、レコメン界隈で活動するハンガリーの5人組の今年発売予定(日本先行)の最新作。何と来日が決まってます。さて内容の方は、ブルーズ以降からオルタナティヴに至るロックの歴史で鍛錬されてきた枯れ感や土っぽさと、うら悲しくもどこか生活感のある東欧フォーク特有の哀愁、そして8±n拍では把握しきれない奇怪な割りの変拍子とが実に今日的なポイント上でバランスを取って、普遍性あるコンテンポラリー・アヴァン・トラッドに仕上がった快作!金管を交えたチェンバー風アンサンブルはレコメン的でもあるし、言葉数を減らしたスキマ・グルーヴの中で高いミュージシャンシップと結びついた情緒表現をさりげなく聞かせるあたりはKNITTING FACTORY界隈にも通じ、ジャズもダブも消化しつつロック然とした鳴りでまとめる音響面の気配りはワシントンDC〜シカゴ周辺のポストハードコア/ポストロックにさえ余裕で対応。母国語であるマジャール語で歌い込まれるヴォーカルがまたビョークやGOD IS MY CO-PILOTのシャロン・トッパーに通じる朴訥としてやけに艶やかな声色で、ユーロロックファン必殺型の郷愁充分。それらの要素の集まりをあくまで渾然一体としたネイティヴな営みとして見せてくれるのはやはり20年を超えるキャリアゆえでしょう。THE EXやNE ZHEDALIからPACHORA、KARATE、THE ETERNALS、THE 3RD AND THE MORTALと、アピールできる層は幅広いはず。日本では未だ知られざる存在ですがいつどっちの方面からブレイクしてもおかしくないだけのことはやっていると思います、お早めにチェックをば。