フェス雑感1

今回のフェスでお客さんから改めて「発見」されたのはFlat122とLu7だと思う。イベントでは、目当てのバンド以外に初めてのバンドとの新鮮な出会いがあって、それが楽しみの一つなのだけど、それは主催者としても「へへへ、そーでしょ、そーでしょ」とうれしい限り。
 
精緻な本当に独自の世界を繰り広げるFlat122は、お客さんにもミュージシャンにもとて評判が良くて今後がとても楽しみなバンドだ。今回はいつも演奏しているライブハウスよりもだいぶクリアーな音で聴くことができて、そのよさが倍増していた。というか、ぼく自身「こんなによかったっけ」と思うほどだった。実はこれが本来の音だったのだけど。プログレなんか全然聴いてないこの三人の音楽には、でもなぜかプログレテイストがあって目の前のプログレファンを虜にしていく様を観ているのはとっても楽しい。
 
一方、ライブではベテランミュージシャンによる超絶集団ぶりが目立つLu7は、CDでは圧倒的な音楽のクオリティーの高さを持つ。栗原さんからデモを聴かせてもらって、ピアノの一音だけでぼくは感動してしまったのを思い出す。「この音楽は、とにかくどういう形でもいいから世に出るべきものだ」とそのとき思った。プログレ系のポセイドンからリリースするのがそれほど適しているとは思えなかったが、ぼくにも栗原さんにもそれしか方法がなかった。Lu7の音楽はジャンルに分類することができないし、プログレかというと多分違うだろう。「いい音楽には耳を傾ける」という一部のプログレファンを巻き込むことはできるだろうけど、それ以外には特定のジャンルにプロモーションすることはできそうにない。「巧いこと自体には意味はない。いい音楽を演奏するために必要な演奏技術を身につけているだけ。」という栗原さん自身の言葉を具現化しているLu7はこれだけでも凄いことだと思う。音に精霊が宿っているようなLu7の音楽が広く聴かれるきっかけにフェスが多少なりともなったことを望む。