本物のキャラバンは日本製?!

リハ終了。「2年前の時より100倍いいよ。いやほんとに。」(ギタリストの鬼怒無月)。作曲者であるリチャードとデイヴの2人が、久々に揃ってGrey and Pinkを全曲演奏する、それだけでもワクワクする出来事なのに、このバンドはとても出来がよい。二人による見事な曲、リチャードの天使のヴォイス、デイヴの個性的なオルガン、テクニシャン揃いのオパビニアの面々、とパーツは最高のものを揃えた。鬼怒無月が言うようにリチャードとデイヴのコンディションは最高だし、なによりメンバーはカンタベリーミュージックを理解して愛している。出てくる音楽は作曲当時の雰囲気を醸し出しつつ、新鮮なカンタベリーミュージックになっている。巧いだけではなくて、雰囲気が最高なのだ。Nine Feet Undergroundは、デイヴがディレクションしたとてもキャラバンらしいヴァージョンになっている。キーボード奏者が2人いるためにオーケストレーションが厚くなり、まるでwith New Symphoniaのいいところだけ取り入れたみたいだ。しかし、リチャードもデイヴも口を揃えて「グレイとピンクの地は今回のツアーで終わり」と言う。彼らにはやりたい新しい曲がたくさんあって、いつまでもキャラバンの曲を演奏しているわけにはいかないのだという。パイのキャラバンの日本公演は立派だった。見事な演奏からはいつも以上にリハーサルを重ねた跡が伺える。しかし力のこもった完璧な演奏からは、作品発表当時の微妙なニュアンスが失われてはいまいか。週末のGrey and Pinkにはそれがある。リチャードのヴォイスがその重要なパートを担っているにしても、これは驚くべき事だと思う。