ライブレビューあれこれ

「ZAOライブ(東京初日)は素晴らしかったが、壷井彰久のヴァイオリンだけは冴えなかった。」という意味のライブレビューがありました。これはひょっとして、壷井を絶賛しているのと同じなのではないでしょうか。きっとこのレビューアーは「壷井がみっちりZAOとリハーサルした」と勘違いしているのです。当初の主催者側の予定では、「ヴァイオリンのいないZAOは寂しいので、ゲストで壷井に2-3曲弾いてもらおう。」というものでした。しかし、ご覧のとおり壷井はほとんどの曲で演奏して見事なプロっぷりを見せました。普通は最低でも2-3日のリハが必要です。でも、実態は当日ちょっと合わせただけで、しかも「9曲中5曲はぶっつけ本番」だったのです。この条件で、あれだけの演奏ができるプレーヤーが世界中にどれだけいるかは、楽器を演奏する方でしたら即座に理解できることでしょう。

もし壷井の演奏がボロボロだったら「ああ、リハしていないな」というのが誰にでも分かり「ま、こんなもんか」という評価になるのでしょうが、なにしろ演奏が良かっただけに正式メンバー並の評価になっているのではないかと思います。そりゃ無茶ですよ。無論、お金を払ったお客は目の前のステージだけを見て、背後の事情などは無関係に評価します。しかし、ライブ観戦猛者が多いネット上のレビューでは、なべて当日の壷井のプレイは高く評価されています。レビュアーがスケジュールをチェックすれば、「当日リハ」だというのは一目瞭然だから、ということも考慮されているのでしょう。ミュージシャンがプロなのですから、レビューを書く方にもプロのお客になってほしいと願います。