Phonogenix資料
Phonogenixは、新月のギタリスト津田治彦が自らのPhonigenicsスタジオで制作するユニット名で、そのときどきに制作する音楽によりメンバー編成は異なる。ラフに分類すると、津田ソロ、津田と新月での盟友花本彰(key)とのデュオ、数人によるバンド編成の3つになる。音楽性ごとに活動の概要をまとめるとつぎのようになる。
●商業音楽制作(1982-1997)
新月解散後に、津田と花本でScience Fiction名義でデモを数曲制作。作曲は津田。音楽制作プロダクションとしてのPHONOGENIC STUDIOを津田を社長として設立。同時にバンド名をPHONOGENIXとする。TVクイズハンターのサントラなど各種の依頼に対して津田/花本コンビで音楽を制作。音源は残されていない。その後も、商業音楽制作は、断続的に続けられた。
●ニューウェイブバンド(1984-1987)
バンド形態でクロコダイルなどでライブ活動を行う。メンバーは、津田治彦(g)、椎名k太(g)、石畠ひろし(g)、花本彰(key)、大森俊之(key)、京極蘭丸(dr)、小澤アコ(synth, per)。大森はその後TV主題歌などの作曲家として大成、京極はDeLuxを後に結成、末期新月のドラマーであったアコはゼルダへ、新月末期のベーシストであった石畠はユーミンの雲母社の設立メンバーで今はアメリカ在住。当初はウルトラヴォックス、ジャパン的な音楽だったようだ。メンバーはその時々でいたりいなかったりで、活動の後期には花本は離脱。コンピレーションに収録された音源が残されている。
CD/LP「ファンシイダンス◎雲遊歌舞」(1988) 岡野玲子のファンシイダンスを手塚真が音楽化したもの。2曲参加曲がある。
- 「えい人見空中華」(作曲、編曲:Phonogenix、演奏:津田治彦(g, cho)、花本彰(key, cho)、手塚真(cho)、ダマル(vo)、カンリン(vo)、中沢新一(vo)、大山曜(programming))
- 「百尺竿頭進歩十方世界全身」(作詞:中沢新一、岡野玲子、手塚真 作曲:Phonogenix 編曲:成田忍 演奏:成田忍(g, key, cho)、沖山優司(b)、寺谷誠一(d)、MICK(cho)、ケラリーノ・サンドロヴィッチ(vo)、岡野玲子(漢詩朗読)、美島豊明(programming))
CD「サエキけんぞうPRESENTSハレはれナイト(1989) 2曲参加曲がある。
- 「Golden Bug」by Phonogenix(津田晴彦 (g, key)、花本彰 (key))
- 「SPICE」by北川晴美+インド大話術団(詩:サエキけんぞう 曲・編:フォノジェニクス) 津田/花本の作曲、演奏
●劇伴(1984)
津田/花本コンビによる、如月小春のパフォーマンスや後に旗上げした劇団NOISE、手塚真監督映画作品の劇伴。音楽性は「どちらかというと新月BOX CD5の延長という感じ」(津田談)。数本のカセット作品としてリリースされている。「Golden Bug」の原曲は劇伴として制作された。「Colden Bugが劇伴の中では傑作」(津田談)。如月小春の音楽担当は、後に元チャクラの近藤達郎にバトンタッチした。
- ART COLLECTION2/如月小春のプロジェクト公演(津田、花本、伊東信介)
- DOLL/劇団NOISE公演(津田、花本、伊東信介)
- SPh/手塚真監督映画(津田、花本)
- 光の時代/劇団NOISE公演(津田、花本、伊東信介)
●北村昌士とのポストモダン(1984)
フールズメイト初代編集長で後のYBO2リーダー、トランスとSSEレーベルを興した北村昌士との連名で1984年にLP「ポスト・モダン・ミュージックへの序章」を制作。浅田彰、中沢新一両氏がブックレットで対談で。また、PARCOにて浅田彰、秋田昌美らとポストモダンイベントに出演。同年、Phonogenix名義で4曲入り12"EP「HYMNS FOR SAVANNAH」もリリース。曲は花本、詩は北村。メンバーは津田治彦(g, key, linn, b, v)、椎名KAY太(g, v)、花本(key, linn)、北村昌士(b, per, linn, tapes, v)。リズムは打ち込み。ライブにも出演した。
●アンビエント・エスニック・プログレ(1987-1997)
津田ひとりでスタジオで制作した作品が多い。当時スタジオに入社した大山曜が加わることもあった。大山曜による初期アストゥーリアスのモチーフもつくられた。代表作はCD「Metagaia」(1995-1997年制作、2005年POSEIDNから発表)。そのほかパイオニアのLD用の音楽を多数制作したり、任天堂のスーパーファミコンの曲や、いくつかのコンピレーションにも参加している。
初期のLDシリーズであった曲芸飛行隊シリーズのサントラ制作は、当初は津田、花本コンビであったが、花本が多忙となり津田ソロへと移行した。LD「地球のきもち」(1992)という地球環境シリーズは、映像:花本+サントラ:津田のコンビで制作された。LD「アストロノーツ・アイズ」(1994)の曲を発展させてCDのSwalwardが制作されている。富士山を定点観測撮影したLD「霊峰富士」がLDサントラ時代の最後の作品。
LDでリリースされ、後にDVDで再発された作品
- 「霊峰富士」(1997)
- 「EARTH SPIRITUAL EARTH Astronaut's Eyes」(1998)
コンピレーション
- カセットマガジン「TRA 」NO.4 SEPTEMBER 1983(1983)
- 2LP+EP「the best of Pro-Wrestling」(1984) with 椎名k太(g)、石畠ひろし(g)、小澤アコ(per)
- CD「the best of Pro-Wrestling」(1991) with 椎名k太(g)、石畠ひろし(g)、小澤アコ(per)
- 宝島のビデオマガジン「VOS」 vol.12(1989)
●21世紀の活動
DVD「Nitro+ LIVE MIX」 (2005)フル3Dプロモムービー"Gothic Lolita Fighting Sequence"の音楽担当。リズム隊はZIZZ。リディアン・クロマティック・ゴス・プログレ(津田談)。2005年10月にPhonogenixとして、津田(g)、花本(key)、高橋(d)、鈴木(b)の4人で演奏した。